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生活情報サイト幡ヶ谷LaVieのスペシャルopus55
 
まちのトップランナー紹介
opus55 代表 松本和人さん インタビュー
まちに根ざした、本物の音楽文化の育成を…
幡ヶ谷のまちで、私たち庶民が、もっと身近にもっと楽しく本物の音楽に触れる機会が持てたら。
手軽な金額で、地域の多くの人たちが、プロの演奏を間近に聴き、演奏者と語らい、自分でも音楽を演奏してみることができたら。
そんな地域コミュニティ−に深く根ざした、本物の音楽文化づくりに挑戦されている、opus55(オ−パス55)代表の松本和人さんにお話を伺いました。
opus55について
opus55は、六号坂通り商店街、和菓子の『ふるや古賀音庵』の角を 入ったところに位置する音楽スタジオ。
この音楽スタジオを拠点に、演奏会・交流会や、音楽家のネットワ−ク、良質な音楽機器の紹介など、地域におけるクラシック音楽文化の普及に向けて、多彩な活動を展開されています。
opus55 代表 松本和人さん
東京芸術大学中退。ファゴット奏者
東京シティ・フィルハ−モニ−管弦楽団に11年間在籍
2006年opus55設立

 

opus55
 
opus55設立の経緯 - 音楽家としての反省から
opus55
幡ヶ谷スタジオでのチェロの演奏
opus55は、音楽用語で作品番号 55番という意味。松本さんが最後に演奏した、ベ−ト−ベンの交響曲第3番エロイカの作品番号です。
opus55
幡ヶ谷スタジオでのチェンバロの演奏
チェンバロはピアノの原型となったバロック期の楽器。その安らぎと癒しを与える音色に最近人気が高まっています。
opus55
opus55の入り口
幡ヶ谷スタジオはこの建物の地下。松本さんは、ご両親もご兄弟も音楽家という音楽家一家に育ちました。
opus55
opus55のロゴマ−ク
ヨハン・セバスチャン・バッハが必ず楽譜の最後に記したという神の栄光を讃える言葉「ソリ・ディオ・グロ−リア」からつくられました
取材者:
松本さんは、長くファゴット奏者として活躍されてきたのですが、なぜ 引退後、opus55を設立されたのですか?
松本さん:
演奏者を辞めて、音楽家として歩んできた自分を 1 歩身を引いたところから見つめ直した時、次のような思いに囚われました。
これまで自分が音楽家として曲りなりにもやってこられたのは、自分の演奏を聴いて下さるお客様の支援があったからではないか。だから今度は、このお客様に対して、何か恩返しをしていかなければならないのではないか。しかし自分が演奏者であった時には、自分の音楽のことだけしか頭になくて、お客様のと創っていく音楽、本当に手近で、安らぎとなったり力となったりする音楽を提供することが出来ていたのであろうか。またクラシック音楽の裾野を広げる取組みが出来ていたのだろうか。
そうした恩返しの気持ちや、反省と罪の意識もきっかけとなって、次の3つのことを目的に、opus55を設立しました。
1つは、音楽を習ったり、練習したりする場の提供。2つ目は、音楽を習いたいと思う人たちに対する、音楽家の紹介や情報の提供。そして3つ目は、手軽に身近に本物の音楽演奏に接する機会を提供し、クラシック音楽の裾野を広げていくことです。それに音楽ア−ティストのマネ−ジメント業務や、演奏会場でのレコ−ディング業務等を加えて、これまで音楽家として培ってきた自分の経験と人脈を生かし、世の中に役立とうと考えました。
 
音楽スタジオの開設
松本さん:
そこでまず今年1月幡ヶ谷に、室内楽などのリハ−サルや個人の練習、レッスンなどに利用できる、スタジオを開設しました。
音楽をやりたいと思っても、音の問題があります。自宅に防音室を造るとなると、たいへんな費用がかかります。そこで、気楽に支払える金額で利用できる約15畳のスペ−スの貸しスタジオを、建物の地下につくりました。ピアノとチェンバロも完備しています。特に地域でチェンバロが利用できるスタジオとなると、私のところぐらいではないでしょうか。
利用料金は、会員価格で1時間1,500円です。実際この価格では、ピアノの調律費用等の設備の維持費も賄えませんが、音楽普及のための地域貢献だと考えています。
またこのスタジオが、音楽のレッスンにも使えればと思い、現在は毎週月曜日と木曜日にチェロの教室も開いています。
音楽貸しスタジオ&チェロ教室については、幡ヶ谷 La Vie 『カルチャ−&学び』をご参照下さい。
 
音楽家の紹介
松本さん:
次に、いざ音楽を習いたいと思っても、実際どこへ行ったら良いのかわからないという問題があります。大手の音楽教室へ行っても、きめ細かなニ−ズに応えてくれるものではありません。また高い料金を払ったからといって、良いものを教えてもらえるわけでもありません。幸い私には、長年培った音楽家の人脈があるので、その人に適した良い先生を紹介をすることができます。
また最近では、アマチュアの音楽好きの方々が、自分たちでリサイタルを開かれることもあり、足りないパ−トの演奏者を紹介するようなことも行なっています。
 
地域ミニコンサートの開催 - 本物の音楽に触れる感動を
 
 
松本さん:
 
そしてこれからチャレンジしていきたいことは、地域の多くの方たちが、本物のクラシック音楽の素晴らしさに、身近に触れる機会を提供していくことです。すでにクレシックライブハウスがある他の地域では、コンサ−トの企画や主催を行なっているのですが、opus55の小さな幡ヶ谷スタジオでも、例えば来場者10人限定といったようなミニ演奏会を企画していこうと思っています。
 
じつは先日、新しい理論にもとづくスピ−カ−の試聴会を兼ねて、チェロとチェンバロの演奏会をこのスタジオで開催しました。通常コンサ−トというと、会場のつくりから演奏者と聴衆の距離が離れてしまうのですが、15畳のスタジオです。圧倒的なプロの演奏を、膝を突き合わせて身近で聴く感動は、想像以上のものがありました。
 
 
取材者
 
私もその演奏会の場にいたのですが、すぐ側で聴く生のクラシック音楽の素晴らしさに、本当に感激してしまいました。また演奏後に、演奏者の方と親しく会話を楽しめたのも、今までにない経験でした。
 
 
松本さん:
 
出来れば今後は、このスタジオのみならず、地域の他の場所でもこうしたミニ演奏会が出来ればと思っています。ヨ−ロッパでよく行なわれるように、チェンバロなどの楽器を持ち出して、教会などで古楽器や室内楽のコンサ−トが開ければ、多くの方に音楽の良さを味わっていただけるのではないかと思っています。
 
また身体に障害があって、遠くまで出かけることが困難な方たちにも、地域で音楽を楽しむ機会を提供できると思います。そういう方たちは、福祉の意味も込めて、無料で招待しようと思っています。
 
手軽に演奏会を聴ける仕組みづくり - 入場料を無くして
松本さん:
でもそうはいっても、値段が高いのでは、演奏会に行くことは出来ません。オペラシティ−などでのコンサ−トのように、チケットが7,000円〜8,000円したのでは、気軽に払える金額ではありません。普通に暮らしている私たちが、抵抗なく払える金額というのは、やはり1,000円〜2,000円、せいぜい3,000円というところでしょう。
そこで試してみようと思っているのは、庶民レベルで音楽文化が根付いた、ヨ−ロッパでとられている方法です。定額の入場料をとるのではなく、演奏が終わった後に、聴衆にかごや袋を回して、その中にお金を入れていただくのです。キリスト教会での献金や、ストリ−トミュ−ジシャンへの投げ銭のイメ−ジです。教会のなどの場所をお借りした場合には、場所代として別にかごや袋を回します。
この方式だと、自分の納得した評価で、演奏会の料金を支払うことができます。
実際著名な音楽家のコンサ−トで高い料金を払っても、それに見合ったものが得られるかどうかはわかりません。大きな会場で、何千人という聴衆が聴くのでは、本当のところ生の音は聴こえません。生の感動は生まれないのです。ただ有名なコンサ−トを聴いたという、ちょっとした見栄も入った満足感を刺激するだけといっても過言ではないでしょう。
たとえ1,000円でも、自分の納得した金額を支払う方が、本当に音楽を味わい、音楽が生活文化に根付くことに役立つと思うのです。
 
生活文化に根ざしたクラシック音楽の普及を
松本さん:
また、ミニ演奏会が終わった後は、必ず演奏者と参加者との語らいのひと時を設けようと思っています。お茶とビスケットなどをつまみながらの、楽しい懇親のひと時です。さらに、楽器の仕組みや歴史、聴き方の入門等、レクチャ−を兼ねた演奏会の開催も考えています。
これによって、クラシック音楽は敷居が高いと思っている皆さんも、肩肘張らずに参加しやすくなるのではないでしょうか。また音楽家にとっても、自分のファンを増やすという点で、非常に大きな意味があります。
たとえばヨ−ロッパでは、2部や3部のサッカ−チ−ムを、地域の人たちが、自分たちのコミュニティ−のチ−ムだということで、大切にします。選手も、気さくにいろいろなところに顔出しします。最近では、日本でも野球の四国リ−グなど、本当に必死になって地域に野球を普及させようとしています。
クラシック音楽も、同じ努力をしていかなければならないと思います。もっと日常の生活に身近に接して、地域の人たちが、私の音楽家、私の演奏者という思いを持っていくようにならないと、本当の普及にはつながっていかないと思います。
 
地域貢献としての音楽文化の育成
取材者:
ところでopus55の事業だけでは、なかなか利益を出すことが難しいように思われるのですが、松本さんは他にも何かお仕事をされているのですか。
松本さん:
じつはもう1つ別に、ミュ−ジック・オン・クリックという会社を経営し、基本的な収入は、そちらから得ています。アップルが運営する音楽デ−タ配信サ−ビスi Tune Store へ音源を提供する会社です。いろいろな音楽家の演奏を録音して集めてアップロ−ドする、アグリゲ−タ−という仕事です。
この仕事のおかげで、音楽家とのネットワ−クが広がっています。またCDをつくることに比べて、低コストで音楽を配信できることから、ここでも音楽の普及に役立っていると思っています。それに、CDというモノを買うのではなく、形のない知的財産権を買うことになるので、著作権概念の定着にも役立つ仕事です。
opus55は、クラシック音楽普及のための社会貢献を目指しつつ、事業としても成立させる、社会起業的な意味合いがある会社です。それで会社の形態も、株式会社ではなく、合同会社(LLC)という形態をとっています。
日本のクラシック音楽人口の割合は、わずか1%と言われています。特に 渋谷区は、オペラシティ−を別とすれば、公会堂などでの音楽コンサ−トの機会が非常に少ない地域です。この地域で、例えば10人限定のコンサ−トとか、チェンバロもあるのでリコ−ダ−等との古楽器のアンサンブルとか、室内楽の演奏会とか、メジャ−なホ−ルでは行なわれないコンサ−トも含めて、ミニ演奏会の企画を行なっていきたいと考えています。
そして日本においても、地域の日常生活に根付いた本物の音楽文化を育み、また地域の人々が支える音楽家の育成を行なっていければと思っています。
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